コラム
福祉業界でのICT活用と職員の働き方改革
福祉業界でのICT活用と職員の働き方改革
近年、福祉業界では少子高齢化による需要の増加と人材不足が深刻化しており、業務の効率化と職員の負担軽減が大きな課題となっています。
そこで注目されているのが「ICT(情報通信技術)」の活用です。ICTの導入により、福祉現場の業務負担を軽減し、職員の働き方改革を実現しようとする動きが全国的に広がっています。
この記事では、福祉業界が直面する働き方の課題、ICT導入による現場の変化、そして今後の展望について詳しく解説していきます。
ICTを活用することで、どのように福祉の現場が変わり、働く人の負担が軽減されるのかを理解することで、これから福祉業界に携わる方やすでに従事している方々にとって、今後の働き方を考えるヒントになるはずです。

福祉業界が抱える働き方の課題とは
人手不足の常態化
福祉業界では高齢者人口の増加により、施設や在宅ケアの需要が年々拡大しています。一方で、担い手となる福祉人材の確保が追いついておらず、人手不足が深刻な問題となっています。そのため、一人あたりの業務負担が増大し、心身の疲弊や離職につながるケースも多く見られます。
手作業中心の業務による非効率さ
介護記録や利用者の状態報告、シフト管理など、多くの業務が未だに紙媒体やホワイトボード、口頭で行われており、手間と時間がかかる状況が続いています。また、情報の伝達ミスや記録漏れが起きるリスクもあり、業務の質にも影響を及ぼしています。
情報共有の難しさ
職員の勤務形態がシフト制であることから、日勤・夜勤・早番・遅番など時間帯によって関わるスタッフが異なるため、申し送りや利用者の状態共有がうまくいかないことがあります。情報の一元管理ができていないことが、ミスの原因になることも少なくありません。
働き方の柔軟性の欠如
長時間労働や休日出勤、急な呼び出しなど、働き方に柔軟性がないことも福祉職の課題です。特に子育てや介護と仕事を両立しながら働く職員にとっては、柔軟な勤務環境の整備が必要不可欠です。
ICT導入で進む現場の効率化と変化
タブレット・スマートフォンによる記録業務のデジタル化
近年、介護記録や申し送りの業務において、タブレットやスマートフォンを使ったシステムが導入されています。これにより、介護中でもリアルタイムに記録を入力できるようになり、紙での転記作業や記録忘れのリスクが大きく減少しました。また、音声入力やテンプレート機能を活用することで、記録にかかる時間も大幅に削減されています。
見守りセンサー・ナースコールとの連携
入所者や利用者の安全を守るため、見守りセンサーやナースコールとICTを連携させる取り組みも増えています。センサーが異常を検知すると即座に職員の端末に通知が届くため、迅速な対応が可能になります。夜勤中の巡視回数を減らすことができ、職員の身体的負担軽減にもつながっています。
クラウド型システムによる情報共有の効率化
各種情報をクラウド上で一元管理することにより、シフトが異なる職員同士でも利用者の状態やケア内容をリアルタイムで確認できるようになりました。これにより、申し送りの精度が向上し、職員間の連携ミスを防ぐことができます。
職員教育のオンライン化
これまで集合研修が中心だった新人教育やスキルアップ研修も、ICTの導入によってeラーニングやオンライン研修が可能となりました。これにより、忙しい現場でも空いた時間を活用して学ぶことができ、職員一人ひとりのスキル向上が期待されています。

ICTがもたらす働き方改革の可能性と今後の展望
業務負担の軽減と働きやすさの実現
ICTによる業務の効率化は、記録や情報共有などの時間を短縮することで、ケアに集中できる時間を増やし、職員のストレス軽減にもつながっています。こうした取り組みは、職員の定着率向上にも大きく貢献します。
働き方の多様化と柔軟性の向上
ICTを活用したテレワークや在宅勤務制度を導入する福祉法人も増えてきました。例えば、記録やシフト作成などの業務を自宅で行えるようにすることで、家庭と仕事の両立を支援しています。特に事務職や相談業務においては、その傾向が顕著です。
人材育成の強化とキャリア形成支援
eラーニングを通じた学び直しの環境や、ICTツールによるスキルチェック、成長管理が進むことで、職員のキャリア支援も充実しつつあります。これにより、経験の浅い職員でも安心して現場に入ることができ、教育担当者の負担も軽減されます。
導入における課題とその克服方法
- 高齢スタッフのICTリテラシー不足:定期的な研修とマニュアルの整備が不可欠。
- コスト面の不安:国や自治体の補助金・助成制度を積極的に活用することが重要。
- ネットワーク整備:Wi-Fi環境やデバイスの台数確保も事前に整備しておく必要があります。
これらの課題をクリアするためには、現場主導ではなく法人全体での取り組みが求められます。

おわりに
福祉業界の現場では、ICTの導入が少しずつ進み、働き方改革の実現に向けた大きな一歩となりつつあります。ICTはあくまで手段であり、目的は「より良いケアの提供」と「職員が安心して働ける職場づくり」です。
効率化だけでなく、人と人とのつながりを大切にする福祉の本質を損なうことなく、テクノロジーの力をうまく活用していくことが重要です。今後もICTの進化とともに、福祉業界の働き方はさらに多様化し、魅力ある職場づくりが進んでいくでしょう。
※本記事は厚生労働省「福祉分野におけるICT活用事例集」、福祉業界専門誌、ICT導入施設のインタビューをもとに構成しています。
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